食事は、生きていくうえで欠かせない大切な役割を担っています。特に幼児期は、心と体の健やかな発達を支えるために、食事のリズムを整えることが重要です。厚生労働省が示す「たのしく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」では、食育の目標として次の5つが挙げられています。

1. お腹がすくリズムを持てる子ども
2. 食べたいもの、好きなものが増える子ども
3. 一緒に食べたい人がいる子ども
4. 食事づくりや準備にかかわる子ども
5. 食べたいものを話題にできる子ども

これらは、保育園で子どもたちが目指す姿として、健康で質の高い生活を送るために大切な目標です。この中でも「お腹がすくリズムを持てる」とあるように、食事を楽しむ基礎として生活リズムをつくることは大切です。

1. 食べられない理由を探ることの大切さ

まず、子どもが食事を食べられない理由を全て見つけるということが大切です。理由として考えられるものには以下のようなものがあります

例えば…
• 食材の好き嫌いが多い
• 日中の活動量が少なく、十分にお腹が空いていない
• 体調不良による食欲不振
• 寝不足などの生活リズムの乱れ

保育士は日々の子どもの様子をしっかり観察し、これらの要因を見極めることで、適切な対応につなげることができます。

2. 保育士や調理スタッフによる食事への働きかけ

子どもたちが食事に興味を持つきっかけの一つは、大人の姿です。特に「食わず嫌い」をしている子どもには、保育士や調理スタッフが楽しそうに食べる姿を見せることが効果的です。「これおいしいね」「すごく甘くておいしいよ」といった感想を口に出しながら食べることで、子どもたちの興味を引き出せます。また、食材の特徴や味について話すことで、子どもたちが「自分も食べてみたい」という気持ちになるよう促しましょう。

3. お腹がすくリズムを作るための日中の活動

もし子どもが活動量不足でお腹が空いていない場合には、日中の活動を見直すことが有効です。散歩や外遊び、リズム体操など、適度な運動を取り入れることでエネルギーを消費し、自然とお腹が空くようになります。また、活動を通して体を動かす楽しさを感じることで、生活全体のリズムが整いやすくなります。

4. 食事時間の調整

保育園では多くの場合、食事の時間があらかじめ決められています。しかし、子どもたちはそれぞれ生活リズムや食事のペースが異なるため、一律の時間では食べられない子が出ることもあります。この場合、食事時間を2つのグループに分けるなど、柔軟に対応する方法があります。個別対応が難しい場合でも、ある程度子どもたちのペースに合わせた時間設定を工夫することが効果的です。

5. 食への興味を引き出す工夫

食事に対する興味や関心が低い子どもには、食べ物をテーマにした絵本や歌、手遊びなどを取り入れてみましょう。また、野菜の栽培活動やクッキングを行うことで、食材に直接触れる体験ができ、興味を持つきっかけを作ることができます。こうした活動を通じて、子どもたちは「食べること」そのものへの意欲を育むことができます。

6. 盛り付けや環境の工夫

食事の時間が楽しいと感じられるよう、盛り付けをカラフルにしたり、見た目を工夫することも効果的です。また、いろいろな人と一緒に食事をする機会を作ることで、食べる楽しさが増します。

7. 楽しい雰囲気の中でリズムを整える

食事のリズムを無理に作るのではなく、楽しい園生活の中で自然と身につくようにすることが大切です。子どもたち一人ひとりのペースを尊重しながら、食事の時間が楽しいひとときになるよう、保育士として寄り添っていきましょう。

子どもの食べがよくないという場合には、「食べること」を前向きに楽しめるようにし、大人が根気よく支え、適切な環境を整えてあげることが重要です。