幼児から庭いじりをすることで人生が豊かになります。草花や土に触れると大人ならストレス発散になるし、子どもは心地いいと感じるでしょう。

保育園でも、食農という分野があって、四季で計画してこどもたちがさまざまな形で自然に触れられるように取り入れています。

おうちによっては、庭が取れないこともあると思います。その場合はベランダにプランターを置いて庭いじりができる環境を作ってはいかがでしょうか?

青々とした空や雲の動きを眺めたり、虫たちのおもしろい動きを観察したり、土や花の香りを嗅いだりすることで、五感が刺激され、癒されることでしょう。

自然は心を満たしてくれるだけでなく、知らず知らずのうちに没頭していて、集中力を高めてくれます。

大人であっても、果物を食べて、その種を庭に植えてみて、種から芽が出てくるとすごくうれしいものです。その芽がどんどん大きく成長する姿を見ると、その度にうれしくなります。

うれしさやたのしさにはいろいろ種類がありますが、お庭で体験するのは思わずニヤッとしてしまう行為はやさしさを含んだ笑顔になるよろこびです。やさしい気持ちを育むことは難しいと言われますが、庭育なら自然に身につくことができるので、幼児にとてもおすすめです。

お庭は季節で変化するため、子どものワクワク・ドキドキな好奇心が刺激されます。日々の変化を見ているうちに、お庭が好きになるでしょう。

お庭で起こる小さな喜びやうれしさは、いわば豊かな感性です。豊かな感性は、非認知能力の1つであり、人生を豊かに、たのしく生きるうえで役立つものです。

さらに変化を見つけると、自然に人に話したくなりますよね!

「ママ、芽が出たよー」「葉っぱに穴が開いてしまったよ」「虫さんがいるよ」と会話が出ます。これもコミュニケーション力を育てる大切な時間です。

そんな言葉をたのしみながら、会話のキャッチボールができると、会話術もどんどん身についていきますよ。

植物のように、生き物を育てる体験は命の大切さも学べます。芽が出て、どんどん大きくなり、花が咲き、実がつく。全てが順調に行くわけではありません。

暑さでダメになってしまったり、洪水のようなひどい雨で全ての芽が流されてしまったり、虫に葉を食べられてしまい光合成ができずに枯れてしまったり…

こんな体験をすることがとても大切です。時にはそれを目の当たりにして、泣いてしまう子もいるかもしれませんが、命の大切さを知るのはもちろんのこと、どうしたらいいのか考えることで、問題解決能力が身についたり、無力であることを知ったりするチャンスです。

お庭の作業をすると、足腰も強くなります。しゃがんでする作業が多いのですが、中学生の実験でしゃがめない子が増えていることがわかりました。理由は足関節の柔軟性の低下です。

昔は当たり前だった和式トイレやちゃぶ台で正座をして食事をするという生活スタイルが失われていることで、しゃがみ込む動作は日常生活の中からは消えていき、股関節や足関節が硬くなっていることが考えられます。

このようなことからも、庭いじりでしゃがむ行為をさせることは、運動能力の向上から見ても大切なことです。

庭いじりがこどもの発達にとてもよいことをご紹介してきましたが、非認知能力を養わせる観点からおすすめなのが、子どもに役割を与えることです。

〇〇ちゃんはお水をあげてね!とか、毎日保育園から帰った時に様子をチェックしてね!とか、お願いすることで、責任感が身につきます。

また、石を集めて囲ってみたり、植えたお花の名前を書いたプレートを作ってみたりすることで、想像力や発想力が育ちます。お庭全体のデザインで創造力が存分に養われるので、子どもの意見を取り入れて、お庭づくりをしてみましょう。

育てるものを野菜や果物にすると、そのまま食べる体験ができて、もっと五感を刺激するクリエイティブな活動になるのでぜひ取り入れてください。

庭いじりはいいのはわかったけど、お庭もベランダもないというおうちもあるでしょう。

そんな場合は、リビングやキッチンで、水を入れたコップに植物の茎を挿して育てるという方法があります。だんだんと茎の先から根が出てきて、日々変化を楽しむことができます。種から育っている豆苗やカイワレなら、上の部分だけ食べた後で、下の部分を育てるといったこともできて、育った部分を再度食べることができます。

庭いじりはこどもにとっていいことだらけなので、非認知能力を育むために、何ができるか、もう一度ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

お庭は子どもの能力を伸ばす宝庫です