子どもは食べるのでしょうか?パンを食べたいと言

まず子どもの食事の味付けについては、薄味が基本とされています。しかし、食の好みは個人差が大きく、薄味にするだけでは必ずしも「食べる」ことに繋がるとは限りません。さらには、年齢により、嗜好が変わっていくため、それに合わせていくことが大切になりますので、まずはなぜ薄味がいいのかについて説明します。

1. 薄味の理由
子どもの味覚は大人より敏感です。そのため、大人が「少し薄い」と感じるくらいがちょうど良い濃さであることが多いです。また、以下の理由から薄味が推奨されます。
・健康面:塩分や砂糖を過剰摂取すると将来的に高血圧や肥満などのリスクが高まりこます。
・味覚の発達:薄味に慣れることで、素材本来の味を楽しむ力が育ちます。

2. 薄味でも「美味しい」と感じる工夫
薄味にしても子どもが美味しく感じられるような工夫をしましょう。
・だしやスープを活用:昆布やかつお節のだし、野菜スープなどで旨味を引き出す。
・自然な甘みを利用:野菜や果物(トマト、にんじん、バナナなど)の甘みを活用する。
・香りを加える:少量のごま、のり、青のり、ゆずなどで香りをプラス。

ただし、薄味にしすぎると子どもにとって「味がない」と感じられたり、素材の味が強くでることで余計に食べられないということもあります。それは成長していく過程で、さまざまな感覚が身についていくことで、変化していきます。試してみた時に、子どもの様子をチェックするようにして、野菜の味が強くでて食べられないときは、舌に直接味が感じやすいように片栗粉でとじたりしてもいいでしょう。どのようにするのがその子自身に合っているかを見つけていきましょう。

また、子どもが「食べたい」と言ったのに食べない理由について説明します。「食べたい」と言ったときは、その食べ物に興味を持ったり、目に入ったものを口にしたい気持ちから言った可能性があります。しかし、実際に目の前にすると興味が薄れてしまうことがあります。

1. 気分の変化が早い
幼児は気分が急に変わりやすいものです。「食べたい」と言った直後に気持ちが変わり、他のことに興味を移すことがあります。

2. 想像と現実のギャップ
子どもは食べ物を「イメージ」で選ぶことがありますが、実際に目の前に出された食べ物がイメージと違うとがっかりして食べなくなることがあります。
例:テレビや絵本で見たパンと現実のパンが違ったり、パンだと思っているものが別のものであったりすることも…

3. お腹の状態
「お腹が空いている」と思って「食べたい」と言ったものの、実際はそれほど空腹ではなかった、または空腹感がすでに和らいでいる場合があります。

4. 親への期待やコミュニケーション
「食べたい」と言う行動そのものが、親とやり取りをしたい、関わってほしいというサインであることもあります。この場合、実際に食べるかどうかは二の次になることも。

5. 自己主張や試し行動
「食べたい」と言って用意されたときに「やっぱり食べない」とするのは、子どもの自己主張や親の反応を試す行動の一環であることもあります。

<親としてできる対応策>

1. 食べなくても怒らない
食べなかった場合でも、「また食べたくなったら言ってね」と優しく伝えましょう。叱ったり無理に食べさせると、食事への抵抗感につながることがあります。

2. 少量から提供する
食べるかどうかわからない食材や料理は、まず少量を出して様子を見るとよいです。もし食べなくても無駄が少なく、親の負担感も減ります。

3. 選択肢を与える
子どもに「これとこれ、どっちがいい?」といった形で選ばせると、食べる意欲が高まりやすいことがあります。ただし、選択肢が多すぎると迷ってしまうので2つ程度に絞るとよいでしょう。

4. 食事以外の興味を考える
「食べたい」と言って食べない背景には、おもちゃやテレビなど他のことに気を取られている可能性があります。食事の環境を整え、集中できるようにしましょう。

5. 成功体験を作る
子どもが「食べたい」と言ったものを実際に食べられた場合、たくさん褒めて成功体験に繋げます。楽しい経験として記憶されると、次回の食事意欲にも良い影響を与えます。

子どもが「食べたい」と言って食べないのはよくあることで、子どもの発達や心理の一部と捉えると気が楽になると思います。焦らず、柔軟に対応していくことで、子ども自身も「食べることは楽しい」という感覚を育んでいけるでしょう。