わたしが保育園で食育の責任者をしていた時のことです。系列保育園が100園以上ある大手にいたのですが、同じコンセプトとシステムでやっているのに、いろいろな事故やクレームがありました。

たくさんの園を管理し、たくさんの子どもたちや保育士、栄養士、看護師と接してきた中で、ある法則を見つけました。

それは、まだ園の中に入る前に外の時点でがやがやと大声が聞こえるは、問題が多いということ。そして、このような園は卒園して入学をしてと子どもたちが新しくなっても同じように、騒がしいのです。

さらに、保育空間にも特徴があります。それは保育室が整理整頓されていないということ。

いろいろ調べてみると、事故率が高ことがわかり、わたしは給食の時間に巡回にいくことが多かったのですが、残食率も高いことがわかりました。

食事の様子も全く違います。子どもたちは落ち着きがなく、みんなが騒がしいのは、一人一人の音量が大きいため、それ以上の大きな声をあげないと聞こえない。また、室内が整頓されていないため、おもちゃなどに気が散る子どもが立ち歩くなど、先生もさまざまなことに注意をしなくてはならずに、声も大きくなっていました。

興奮したままで給食を食べているから、昼寝にもなかなかつけずに、寝不足でおやつも食べられない。そして夕方まで耐えられずにイライラしている。だから、ケンカも多いといった悪循環であったのです。

子どもが入れ替わるのに、なぜ同じように繰り返されるのか…しかも他ではとても良い子だった子でさえも、問題を起こすようになることに疑問をもち、心理学や脳科学など調べてみると、食事は脳が深く関与しているということがわかりました。

楽しく整頓された空間で食事をしているときは、食事に集中する時間も長く、体から消化酵素もたくさん分泌されて、栄養も身体にしっかり吸収されます。しかし、叱られたり、指摘をうけると、酵素の分泌も悪くなり、栄養がなかなかとれなくなる。

そうです。同じ給食を食べているのに、変わるということ。

栄養の吸収が悪ければ、身体が大きくならないだけでなく、精神も安定しません。

そうなると、集中もできないし、イライラするのも当たり前です。

わたしは何千人もの先生たちに指導する立場であったため、身体の機能を徹底的に勉強し直して、保育や食育などの方法をすべて改善しました。

「自分で気付き考えることができるように促す、叱らない保育」というものに。

勝手に成長する環境づくりを徹底することで、子どもたちの精神が安定して、子育てがグッっと楽になりました。

この理論を元に、研修を重ねて先生たちの教育をして、問題のある園を変えていきました。

それからというもの、問題ばかりだった子が、いつもニコニコの天使のような子どもたちに…

同じ子であっても、良い子になったり、悪い子になったりする!

検証を何度も重ね、たくさんの事例を問題解決してきて得られたノウハウを形にしたツールが欲しい…

こんな思いを強く思っていたのが開発の夢を叶えるきっかけでした。

次はDECORREの開発が決まった時の話をしたいと思います。