昔、食事というのは、こどもがおなかをすかせて、待ち遠しくてたまらないものでした。ところが最近のこどもたちは、給食の時間がくるとうんざりする子が多くいて、鉄の箸を持っているかのように重たい箸を動かしています。

 先生たちもスケジュールがあるため、時間をみて「早く、早く」とあおります。しかし、これは集団生活である保育園だけの光景だけでなく、おうちでもせかしていませんか?

 これでは、給食を五感で楽しむといったことはとても難しくなるし、コミュニケーションをとりながらといった雰囲気も作りにくくなります。

 ごはんが食べられないといったこともなく、おなかがすこうがすくまいが必ず食事が3食出てくる状態ですから、まるで餌を与えられているのと同じですよね。

 食事に意欲がない場合、一番大切なことは、「栄養を取り込むために食べさせる」といった発想から、「食欲を回復」するように配慮してあげることです。

 人は食べることで健全な身体と心が育まれるのです。

食欲は意欲と好奇心ともに相関関係があり、よりよく食べる子は豊かな人生に繋がります。

 食欲を出させるためには、楽しい食空間の演出がとても大切になります。

例えば、こどもが主体的、能動的に食べられるように、おうちでも大皿に盛り付けて、自分の食器に自由に盛り付けをさせるようにしてもいいですね。

 食べたいと思うのは、やはり、空腹の時です。空腹を作ることがとても大切なので、外遊びだけでなく、間に飲んでいるのみものや、おやつなどが多くないかも考えてみてください。

 あとは、やっぱり楽しい環境を作ることが大切ですね。例えば、テーブルクロスをひいてみたり、お花を飾ってみたり、音楽をかけてみたりとレストランのような演出をこども自身にさせてみるのもおすすめです。

 お友だちを家に呼んでパーティーをするのも、楽しく食べる演出にはぴったりです。食空間というのは、部屋や家具だけでなく、一緒に食べる人も楽しい雰囲気を作る大きな要素になります。

 食生活はこどもの人格そのものを変革するほど重要なことです。こどもの生活全般を見直してみましょう。